X0307 中茶牌簡体字鉄餅
Zhōng Chá Pái Jiǎn Tǐ Zì Zhí Bǐng
下関茶廠が73年ごろに作った中茶簡体。今では見かけることもない「配方」以前の野生茶葉でつくられたプーアル茶。 香港で20年しっかりと熟成され、日本で20年間休まされた鉄餅です。
形状 | 餅茶 |
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製造 | 1973年 |
茶廠 | 下関茶廠 |
産地 | 大里茶区 |
熟生 | 生茶 |
特徴 | 70年代の港倉茶 |
味の評価
- 甘味
- ★★★☆☆
- まろみ
- ★★★★☆
- 渋味
- ★☆☆☆☆
- 苦味
- ★★☆☆☆
- 酸味
- ★☆☆☆☆
- 香り
- ★★★★☆
- 熟成度
- ★★★★★
解説:中茶牌簡体字鉄餅
孟海茶廠と並び古い歴史を持つ茶廠、下関茶廠。
そのプーアル茶づくりの歴史も長く、1950年代、印級茶の時代から続いています。
この中茶牌簡体字鉄餅は1970年代初期つくられた下関茶廠得意の鉄餅です。
当時、プーアル茶は政府の管理下にあり、すべて「中茶牌」ブランドとなります。
この時代のプーアル茶は、内飛がないものも多く、そもそも40年も昔のことなのでどの茶廠によって作られたのか定まらないものもあります。
この中茶牌簡体鉄餅も以前は昆明茶廠によってつくられたプーアル茶だとされ、昆明第一鉄餅とよばれいました。
しかし最近の調査ではこのプーアル茶は下関茶廠によってつくられたものであるとの説が有力となっています。
包み紙は薄手で、経年変化により開くと破けてしまいそうです。表面には力強い字体で雲南七市餅茶の文字、そして茶の文字が目を引きます。
雲南七市餅茶の字は辰砂のような深い赤色で打たれ、そして茶の字は明るい色合いでありながらも濃厚さを持った緑で押されています。
そして下部にある中国土産畜産進出口公司雲南分公司の文字はいわゆる簡体であり、これがこのプーアル茶の名の由来にもなっています。
ちなみに、中茶簡体鉄餅にはこの部分の文字数で三つのバージョンがあり、それぞれ九字版、一七字版、一九字版とよばれ、このプーアル茶は17字版となります。
(そのほかはそれぞれ雲南省下関茶廠出品、中国畜産進出口公司雲南省茶葉分公司となっています)。
背面を見ると、包み紙を鉄餅の淵に沿って畳んでいくという特徴的な包まれ方がされていることがわかります。
これは認真包法と呼ばれる包み方で、同じ時期につくられた70年代黄印の認真配方版になどに採用されている包み方になります。
長年の保存を経て弱っているので丁寧に扱わないと崩れてしまいます。
包みを開くと、大ぶりの茶葉でつくられたプーアル茶であることが一目でわかります。
これは70年代までのプーアル茶の特徴ですが、生産効率かの名の下に、このプーアル茶のような野生樹の茶葉を使用してつくられたプーアル茶は効率化の時代にそぐわないとされ、だんだんと規制されていきいます。
(これより後、80年代以降には中茶牌「繁」字体 鉄餅が作られますが、小ぶりの茶葉を使用して作られており、また後に8653へとつながる配方をされてつくられたプーアル茶となります。)
香港での熟成が効いているので餅面には白露(茶葉の成分が熟成を経て結晶化したもの)の跡が見られます。
このプーアル茶にはもともと内飛がは入っていません。
裏面は平坦ですが、鉄餅の型である小さな突起が見られます(乳釘といいます)。
鉄餅なので茶葉は固く締められていましたが、長年の熟成を経て緩んできており千枚通しを当てて動かすと簡単に茶葉が崩れていきます。
もともとの茶葉の質、そして香港での熟成を経ているので茶の出がよく、少量の茶葉でも十分に楽しめます。
反面、倉味が強いので洗茶してから淹れてください。
香港での熟成が長かったのでいわゆる港倉茶の密度のある風味が出ています。
それと同時に日本の常温で20年間保存されていたので、乾燥し風味のなかにドライさも感じることができます。
このプーアル茶のおいしさその奥にあるミネラル分の強さのあるうまみがです。
葉底には若芽も多く、また大ぶりの茶葉も多くみられます。
長年の熟成のため、茶葉はやや硬さをもってきています。茶葉の表面には万遍なくふつふつと膨れており、こちらからも超長期の熟成、湿度のある環境下での熟成の様子がみて取れます。
70年代の代表的プーアル茶中茶牌簡体 鉄餅、確かな時代の確かな茶葉と香港倉の熟成技のおいしさをご堪能ください。