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プーアル茶レシピ7562:年毎の出来の違い
毎年販売される常規茶。お茶はレシピをもち、毎年同じ味になるように調節されています。それと同時に年数によって味の変わるプーアル茶、その違いを見てみましょう。
今回のお茶は孟海茶厰の熟茶7562です。7562は数ある孟海茶厰の熟茶の中でも出来がいいと評判のお茶です。
- 7562について
- 7562はレシピ番号が付された最初の茶で、最初に販売されたのはそのレシピ番号から推察できるように(レシピ番号について)1970年代です。当時は熟茶はまだ開発中で、7562も熟茶ではなく生茶でした。そして使用されている茶葉は2級茶葉がメインに使用されていました。この元祖7562は熟成とともに独特の味わいが出て後年人気が出ました。そのため7562は復刻版がその後何度か販売され、現在では常規茶となっています。復刻版以降、現在の7562はもともとの生茶ではなく、熟茶として製造販売されており、特に2006年あたりからその完成度の高さから中国国内でも大変人気を呼んでいます。
今回は7562の2006年から2009年産となります。どれもその年の初回出荷品ですが2006年産は10月出荷、その他のお茶は4月または6月出荷になります。 - 箱の外見と茶葉の外見
- 人気のあるお茶は偽造防止の工夫が施されています。まずはその辺りから見て行きましょう。
写真では左上が2006年、右上が2007年、左下が2008年、右下が2009年となります。まず気づくことは偽造防止のステッカーの存在です。以前は内側の包み紙に使用されていましたが、2008年以降偽造防止テープが外箱に貼られるようになりました。その他の違いは写真ではわかりませんが、2008年以降大益茶の文字がエンボスになり、光沢のあるインクが使用されるようになりました。また、その隣にある黒い四角には2006年は黒枠の中に「プーアル茶(漢字で)」と書かれていますが、2007年は黒枠の中に「プーアル茶・熟茶」、2008、2009年は「プーアル茶(熟茶)」と黒枠無しで書かれています。 - 左から2006、2007、2008、2009年です。
裏面を見ると、その違いはもっと大きく、2006年は7562の絵が大きく描かれています。その他の年は枠内の文字のフォントと色が異なっています。 - 横面を見るとなぜか2008年だけ異なる閉じ方になっています。組んで閉じる訳ではなく両脇の三角の部分はのり付けという不思議な閉じ方になっています。
- 箱を開けると白い紙に包まれたお茶が入っています。包み紙は年によってサイズが違いますが、大きな違いとしては2006、2007年は偽造防止ステッカーが包み紙に張られています。ちなみに逆側は折って閉じてあるだけなので、中身のすり替えができてしまいます。この辺りは中華スタンダードといわざるを得ません。。。
- さて、いよいよ中身です。左端が2006年で順に並んでいます。表面を見ると2007年と2009年がぴちっときれいに仕上がっています。茶葉の配置はどのお茶も同じです。
- この写真も左端が2006年で順に並んでいます。
この写真からも2007年の表面が平旦であることがわかります。その他に、厚さが年ごとに薄くなっています。そして、この写真では下が切れてしまっていますが、2006年のものは下の方に行くとだんだんと薄くなって行きます。2009年は上から下までぴしっとそろっています。この辺りに製造技術の進歩を見ることができて興味深いです。 - お茶を入れる
- 7562は小さい茶葉を使用した茶なので緊圧度(押し固め度)が高めなのです。かなり固いので茶葉を崩すのに苦労するので鋭い千枚通しを使って崩しましょう。
崩すときに2009年産が他のお茶に比べて柔らかいことに気づきました。表面は目が詰まっていたので固いを想像していたのですが、このお茶はまだ新しいで他のお茶ほど乾燥していないためでしょう。 - お茶を入れてみるとどれもとても良く出ています。水色は濃い赤褐色でやや濁りがあります。2007年が薄めの水色となっています。そして2006年がやや濃く出ています。
さていよいよ味見です。 - 4つのお茶を飲み比べる
- 味を試すとどのお茶も7562のお茶の味をしています。甘みととろみがありコクのある味わいです。どのお茶もとても飲みやすく抜群の仕上がりになっています。
どのお茶も7562の味ですが、違いもあります。大きくわけると2006と2007年、2008と2009年とで括ることができます。年が進むにつれ甘みが引き、その分苦味が立ってくる傾向があるのですが、その違いは2007年と2008年の間に線を引くことができます。個別のお茶の評価では、やはり2007年が水色が薄いせいか味もあっさりとしています。これは2007年の茶面から見てとれるように緊圧度が高く、茶葉が開くのにやや時間がかかるせいかと思います。今年の2009年の物を基準とすると、2006年産の味が一番遠く、甘みが抑えめでその分苦味が強く感じますが、渋味を全く感じません。4年の年数の差でしょうか。2008年と2009年のお茶は2008年の方が甘みがやや控えめでしたが、ほんのわずかな違いでした。香りの面ではどれも同質の蜜香ですが、2006年のお茶の香りがやや香ばしく立っていました。 - 葉底
葉底には大きな差は見られませんでした。
どのお茶も同程度の熟成度で、3種類の茶葉が同比率でブレンドされることが見られました。しかし、それ以外の違いを発見することはできませんでした。もともと熟茶なので茶葉が崩れてしまい同じ茶の葉底を見て違いを探すのはかなり困難となっています。- 結論と考察
- 今回は孟海茶厰で出来が良いと評判の熟茶7562を4年分比べてみました。
外見上では偽造対策が見られましたが片手落ちの部分もあったのが印象的です(笑)。お茶の味は4つのお茶の味に違いがありましたが一年ごとの違いは微妙で、その方向も完全に同一ではなかったのでどの違いが熟成によるものか、年ごとの品質の違いか、個体ごとの味の違いかまではわかりませんでしたが、それでも2006年の物と2009年の物を比べると特に苦味の印象が違い、その味わいに差を感じることができました。興味がある方はその違いをお試しください。
いずれにせよ今回使用した7562のお茶は文句無しでお勧めできる一品なので皆様是非お試しください。