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プーアル茶の茶廠比べ〜7572:孟海、六大、国艶〜
熟茶の基本レシピ番号7572を比べて、その違いから3つの茶廠を見てみましょう。
- レシピ番号7572について
- 茶号、7572のお茶はそのレシピ番号が示す通り(レシピ番号の読み方)、孟海茶廠が1975年に開発しました。1975年から1980年前半に作られた7572は生茶でしたが、その後の復刻版以降、孟海茶廠で作られているお茶は熟茶になります。現在7572のお茶は孟海茶廠の常規茶「大益牌7572」として毎年販売して評判を得ています。そのため近年できた新しい茶廠も孟海茶廠の7572に習ってそれぞれの7572ブレンドのお茶を生み出しています。
このお茶の特徴としては甘い味と熟茶らしい風味にあります。発酵度も高めなので熟茶らしい風味がお好きな方にはたまらないうまさをもったお茶です。茶葉はそのレシピ番号が示す通り7級茶葉とやや大きめの茶葉を使用しています。
熟茶の基本ともいうべき7572、避けては通れぬ伝統、そしてそのうまさです。 - 今回比べたお茶
- これら3種類のお茶の比較をしてみました。
- お茶を入れる
- 左から孟海茶廠大益牌7572、六大茶山75726、国艶茶廠7572となります。
今回はそれぞれ4gの茶葉を使用して実験してみました。そのためどれも濃いめに出ています。水色を比べると、孟海茶廠>六大茶山>国艶茶廠の順で濃くなっていることがわかります。透明度では六大茶山が透明度の高い水色で、その他二つのお茶はやや濁りを感じます。
お茶を注ぐとあたりに柔らかな香りが広がります。どのお茶も香り高くし上がっていますが、その特徴にはやや違いがあります。
国艶茶廠7572は蜜香が前面に出ている一方、孟海茶廠大益牌7572は蜜香の奥に蘭香が隠れています。そして六大茶山75826は杏香を感じさせます。六大茶山75726に比べると孟海茶廠大益牌7572と国艶茶廠7572は香りがとろりと甘い印象です。 - 味の比較
- どれも7572らしい風味をもったお茶に仕上がっていて「甘い風味」の印象を受けるお茶に仕上がっています。
孟海茶廠の大益牌7572は甘みに苦味と苦味のバランスがとれていて、さらにその他の風味が程よく深みを醸し出しています。六大茶山の75726は他の二つのプーアル茶に比べて甘みが控えめのため苦味が存在感を増していますが全体的な風味はややあっさりめ、しかししっかりとコクのある味わいに仕上がっているので飲みやすいお茶です。国艶茶廠の7572は味のバランスは孟海茶廠の大益牌7572に近いといえますが、より甘みが前面に出ていて苦味とその他の風味は孟海茶廠の7572より控えめに仕上がっています。 - 葉底の観察
葉底(お茶を煎じた後の茶葉)を観察すると他のことが見えてきます。左から孟海茶廠、六大茶山、国艶茶廠の葉底となります。どの葉底からも発酵度の浅い茶葉とよく発酵された茶葉がブレンドされていることがわかります。写真ではその見た目に違いはありませんが、よく見るといくつかの違いがあります。- 熟茶なので発酵度の高い茶葉は崩れて形を失っていますが、茎の部分や成長して固くなった葉、そして発酵度の浅い茶葉が形を残しています。六大茶山の75726は発酵度の浅い茶葉の割合が多く、全体的な発酵度も浅めです。茶葉も柔らかく大きいサイズ(9級)のものがありました。それに比べると国艶茶廠のものは発酵の浅い茶葉は六大茶山よりは発酵が深め、且つわずかに孟海茶廠のものより発酵が浅めでした。よく発酵した茶葉の発酵度は孟海茶廠のよりも深めでその中には固くぼろぼろになった茶葉が多く含まれていました。孟海茶廠の茶葉は発酵度の浅い茶葉の発酵度はやや深め、発酵度の深い茶葉の発酵度は標準的なのでその差が目立たない感じでした。発酵度の浅い茶葉から見る茶葉の級は4-8級といった感じです。
- まとめ
- どのお茶も7572らしく「甘み」を引き立たせたお茶に仕上がっています。
孟海茶廠大益牌7572はさすが元祖といった感じで甘みと風味のバランスのとれた味の作りで何より力強いお茶になっています。
六大茶山の75726は孟海茶廠の大益牌7572とはやや方向性の違う感があり、甘さが控えめであっさりとした飲み口に仕上がっています。これは発酵度が全体的に浅めであることからも伺えます。しかし、コクと風味、そして切れの良さで飲みやすく、今回比較した3つのお茶の中では一番飲みやすいのではないでしょうか。一方、国艶茶廠の7572は甘みが前面に出ています。甘い風味をまず感じ、その陰に香ばしさなどその他の風味を感じます。大益牌7572と同様の味作りとなっていますが、孟海茶廠大益牌7572に比べるといささか風味がいささか劣るという印象ですが、甘みを強く感じるシンプルな味わいということもできるでしょう。この辺りは好みの問題かと思います。
茶廠 | 発酵の浅い茶葉 | よく発酵した茶葉 | 割合 |
---|---|---|---|
孟海茶廠 | 発酵やや深め | 標準的な発酵度 | 40/60 |
六大茶山 | 柔らかい茎が多い、発酵やや浅め | 発酵浅め | 50/50 |
国艶茶廠 | やや固め | 固い、焦げたような感がある茶葉 | 40/60 |
いずれのお茶もやはり7572風味で、三者三様の良さがあります。どれが良い悪いというのはありませんが、私の好みを挙げると私は甘さ控えめが好みなので六大茶山、孟海茶廠、国艶茶廠の順になります。